はじめに
Microsoft 365 を利用しており、コミュニケーションツールとして Teams を使っている会社も多いかと思います。メールやチャット以外の重要なコミュニケーションツールとして電話があります。今回はお使いのTeamsに電話機能を持たせる「Teams電話」についてまとめていきます。
本記事の対象読者
この記事は、以下の読者を対象にしています。
- Microsoft 365 で Teamsを使っている管理者/電話の担当者
- 出社と在宅と出先の融合として社内の電話環境の改善を考えられているDXの担当者
- PBXシステムの老朽化を入替を考えている管理者
Teams電話の概要
Microsoft Teams を使用したクラウドベースのPBXシステムで、従来の電話回線を Microsoft 365 のクラウドサービスに置き換えるソリューションです。音声通話、ビデオ会議、チャット、ファイル共有などが統合された環境で利用可能です。
従来の電話システムとの違いとしては物理的なPBX機器が不要となり、クラウドベースで管理が可能です。従来の専用の電話機だけではなく、PC、スマートフォン、専用デバイスなど様々なデバイスから利用可能です。
デバイスの選択肢も多く、ノマドワークの営業の方や在宅勤務の方でもオフィス同様に電話を利用することが可能となります。
導入につまづきやすいポイント
実際に導入を考えるとインターネット上に情報が少なく、相談をする会社もあまりないということで断念をするという話を聞きます。共通点としてシステム面でつまづきやすいポイントがあるので記載していきます。(通信キャリアによって考え方が異なるため若干作業が違います。)
①電話回線としての作業
②Teamsとしての作業
Teams電話を入れる時に特に考慮すべきポイントの中から2つ記載しました。新規の場合は①の考慮内容が少ないですし、②を自社で運用している場合でTeams電話をシンプルな設定だけするのであれば、ご自身で設定するといった情シスや経営者の方もいるかと思います。ここでは既存の構成がある場合や複雑な構成となった場合につまづきやすいポイントを記載をしてきます。
電話回線としての作業
日本では電話の取り扱いが法的規制・技術的要件と品質基準といった部分で諸外国よりも厳しいとされています。電話回線の取得は NTT の固定電話に加入するか、電話番号取得代行業者に申し込むのが一般的です。その中からTeams電話に対応しているサービスを調べていくと大手通信キャリアのサービスしかないというのが現状です。(2022年時点のMSの資料では国内4種類と記載あり)
- Softbank UniTalk
- NTT Com Direct Calling
- KDDI Cloud Calling
- NTT 東日本ひかりクラウド電話
- NTT 西日本ひかりクラウド電話(MSの資料にはないがWEBから確認できる)
既存で番号があるのでそのまま利用したいとなった場合に、固定電話の場合はソフトバンクやKDDI等のキャリアを利用している場合であっても、基本的にはNTTの固定電話の局に紐づいているのでまずはクラウドにもっていく必要があります。オフィス移転などの場合はNTTの電話局が違うとそのまま番号をもっていくことができないため、先にクラウドするという考え方が必要になるケースがあります。(番号ポータビリティ可能な事業者が決まっているため、少なくてもクラウドにするまでは既存キャリアで行うことがほとんどかと思います)
既存の契約の内容を細かく理解していれば話は別ですが、一般的に詳細はわからないということがほとんどかと思います。そのため、特別な理由がない限りは既存キャリアに相談して電話回線としての作業を依頼することになります。※スケジュールもあれこれ調整が必要となるので、出来るだけ早く動いたほうが良いです。1カ月でも足りないケースなどは普通に存在します。
番号ポータビリティやらサービスの契約に関しては既存キャリアがある程度整理してくれるので契約をするだけなのですが、実際の電話番号数などの詳細に落とし込む際にはTeams電話の設計が必要となります。設計次第でライセンス数が異なったり番号が足りないことが発生するからなのですが、それを既存キャリアがやってくれるのかというと一般的なサービスとしてはないように思います(設定の作業代行オプションなどは会社によってはあります)
そこでTeamsの設計と設定をしてくれるようなサポートが追加で必要になるケースがあります。
Teamsとしての作業
電話回線としての作業として「公衆交換電話網(PSTN)」は前項のとおり大手通信キャリアの作業スコープとなるのですが、Microsoft 365 のテナントの中の作業というのがあります。
ここで既存の Microsoft 365 の構築ベンダーやらサポートベンダーに相談をして対応してくれる場合はその選択肢がとれると思うのですが、「Teams電話は対応していません」とか「通信キャリアの作業の代行は可能です(それ以外はできません)」なんてこともあるので、ここで手詰まりと考えるケースもあるようです。
ここでは従来のPBX同様に電話が実際にデバイスに着信するまでの設計を設計することが重要です。代表番号を例にすると「営業時間中の場合は音声を流して、番号を押してもらうことで特定部署のメンバー複数人にリダイレクトする」「営業時間外の場合はアナウンスを流してから切断をする」といったように要件を整理して、どういうアカウントを作ってどういう設定とするかの概要が決まると必要なライセンス数が決まっていきます。
このライセンスも通信キャリアのWEBサイトだけ見ると、受付の電話や部署ごとに配置している電話(部署で1つの電話機を共有している場合など)といった共通デバイスのライセンスや代表電話の例のような自動応答システム(IVR)用や複数台にリダイレクトする際のルーティングを設定するために必要なライセンスなどに気付かないこともあるようです。
運用として考慮が必要な点
従来のPBXを使っていた場合は新規番号が必要な場合やレイアウトを大きく変えたい場合といった際や組織変更の時に電話のルーティングを変更したい際などに外注先に依頼するだけで、通常運用としてはなにも気にしないというケースが多かったのではないでしょうか。
クラウドPBXとなると上記の設定は自分たちで設定が出来るようになるのですが、クラウドにしたことによって増える仕事というのもあります。主に下記の3つなのですが、それぞれの情報を取得できるように環境を構築することが必要となります。
- インターネット接続が正しくできていること
- 公衆交換電話網(PSTN)が正しくうごいていること
- Teams が正しく動いていること
一定の規模の環境であれば一般の業務に使うIPセグメントとIP電話のIPセグメントをわけるなども必要になるかと思いますし、既存の保守ベンダーなどがいるのであれば、公衆交換電話網の障害情報なども届くように設計するなども必要になるかと思います。
その他注意点
電話用に新しい端末の導入が必要な場合(スマートフォン/電話専用機など)は Microsoft Entra ID に登録する必要がでてきます。そのため Intune や条件付きアクセスなど Teams 以外の部分のMicrosoft 365の設定を変更する必要があるケースがあります。テストの時に気付いて一部デバイスはスタート時期をズラすなんてことも聞きますので注意が必要です。
ZUNDAで対応可能な支援
電話回線の取りまとめはおこなっておりませんが、既存の通信キャリアとの会議に一緒に出て支援させていただくことや、Teamsの作業に関してはお任せいただいて、運用部分を管理者教育としてレクチャーする)といった対応などが可能です。また、そのまま継続して運用サポートすることも可能です。
その他にも電話専用機や各種スマートフォンの取り扱いも行っておりますのでデバイスの調達や、デバイスを管理するための Intune の設計のご支援も可能となっております。ライセンスの販売も行っておりますのでTeams電話用の各種ライセンスのご提供も可能です。
まとめ
普段お使いになっている Teams に電話機能をもたせるTeams電話とすることでノマドワークやハイブリッドワークのコミュニケーションを高度にすることが可能となっています。
電話通信キャリアが行う作業と利用会社が Teams で行う作業の2つがあり、同時タイミングである程度行わないと実際に Teams の設定するときに電話番号やライセンスが足りないということが発生するので概要の設計は早めに行う必要があります。また、利用端末によってはIntune/条件付きアクセスなどの変更や簡易設計が必須となることもありますのでご注意ください。
ZUNDA は、Microsoft 365 の導入支援・運用サポートに豊富な経験を持つ、Microsoft ソリューションパートナーです。Teams電話の導入やMicrosoft Entra を使ったデバイス管理や Intune の導入を検討されているお客様は、ぜひ当社までご相談ください。要件を詳しくヒアリングし、おすすめの導入プランをご提案します。
まずはお気軽にお問い合わせください。 お客様のコミュニケーション基盤の構築を全力でサポートいたします。