
【インタビュー】学校法人龍澤学館グループ|複数テナント統合し壁を取り払う 法人全体を繋ぐコミュニケーション基盤を構築
岩手県盛岡市を中心に展開し、幅広い教育機関を運営する地域に根差した学校法人、龍澤学館。教育のみならず、地域貢献活動や地域の企業に出資するベンチャーキャピタル事業なども手掛け、岩手県の地域経済を盛り上げています。
法人全体でのDX推進を目指す同法人ですが、その裏側では「グループウェアの乱立とGoogle Workspaceテナントの分断によるコミュニケーションの壁」という課題に直面していました。
情報システム専任部門が不在で教員が情シス業務を兼務するという多忙な状況に加え、移行の難易度の高さから打診したベンダーにはすべて断られてしまうという非常に困難な状況でした。
そのような厳しい状況から、短期間で複数テナントの統合と、法人全体を繋ぐIT基盤を構築できたのか、事例としてご紹介します。
今回は、学校法人 龍澤学館のご担当者様にインタビューを行いました。
高橋 洋平氏:情報系学科 教員 / DX化プロジェクト マネージャー。 IT環境の統合に向けて実務を巻き取り、迅速な意思決定でプロジェクトを主導。
1. 教員と情シスを兼務。岩手に根差した総合教育機関のDXプロジェクト

――遠藤(ZUNDA):本日はよろしくお願いいたします。まずは、龍澤学館様の概要について教えていただけますでしょうか。
高橋氏:龍澤学館は、岩手県盛岡市を中心に展開している地域に根差した学校法人です。幼稚園や保育園から始まり、中学校、高校、専門学校(MCL盛岡情報ビジネス&デザイン専門学校など)、大学、さらには予備校や進学塾まで、小学校以外の幅広い教育機関を運営しています。教育だけでなく、地域就職の支援や地域貢献活動、さらには地域の企業に出資するベンチャーキャピタル事業なども手掛けており、岩手県の地域経済を盛り上げることを主軸としています。
――遠藤(ZUNDA):非常に幅広い事業を展開されていますね。その中で、高橋様はどのような役割を担われているのでしょうか?
高橋氏:私はもともと情報系学科の担任として教員を務めているのですが、現在は学校法人全体の「DX化プロジェクト」のマネージャーも兼務しています。いわゆる情報システム部門のような立ち位置で、Google アカウントの発行から社内システムの開発、ネットワークの保守まで、IT関係の業務全般を担っています。割合としては教員の業務が7割、情シス業務が3割といったところで、授業の合間を縫って今回の移行プロジェクトを進行していました。
2. バラバラのグループウェアと「外部ユーザー扱い」の壁
――遠藤(ZUNDA):今回、Google Workspace(以下、GWS)のテナント移行・統合を目指された背景には、どのような課題があったのでしょうか。
高橋氏:最大の課題は、法人全体で統一されたグループウェアがなく、情報共有の基盤が分断されていたことでした。組織ごとにサイボウズやdesknet's、GWSなどがバラバラに使われている状態だったんです。
――遠藤(ZUNDA):なるほど。専門学校などでは以前からGWSをご利用いただいていたとお聞きしました。
高橋氏:はい、専門学校などでは以前から GWS for Education を利用していました。ただ、学校ごとに個別にテナントを契約していたため、同じ法人内でのやり取りなのに「外部アカウント」として扱われてしまうという不便さがありました。この状況を解消し、法人全体を1つのテナントに統合しようと、約2年前からDXプロジェクトとして移行の検討を進めていたんです。
3. 重要なパートナー企業との協議と、専門領域という壁

――遠藤(ZUNDA):テナント統合に向けて動き出したものの、パートナー探しでかなりご苦労されたと伺っています。
高橋氏:そうなんです。まずは、弊法人が共同出資しており、日頃からグループ全体の情シス業務やシステム保守を委託している「IBCソフトアルファ」さん(グループ企業)に相談しました。同社は私たちのIT基盤を支えてくれる非常に重要なパートナーです。
ただ、今回のGWS統合、とりわけ「Educationプラン」の移行に関しては非常にニッチで特殊な専門知識を要する領域でした。
日頃のシステムを堅牢に守ってくれている同社だからこそ、未知のリスクがあるクラウド移行に対しては、ユーザー自身でデータをローカルにダウンロードして移行するような「最も安全で堅実な手法」をご提案いただきましたが、それでは現場の教職員への負荷が大きくなってしまうという懸念がありました。
――遠藤(ZUNDA):たしかに、数百名規模のユーザーに手作業をお願いするのは現場の負担が大きくなります。一般的なシステム開発とGWSの移行はまったくの別領域ですよね。
高橋氏:ええ。そこで、GWS移行に強いパートナー企業探しをIBCソフトアルファさんに依頼しました。ところが、移行元・移行先ともにユーザー数が多く、さらにEducationプラン特有の仕様があるということで、IBCソフトアルファから打診してくれたGoogleパートナー各社には「Educationは対応できない」とすべて断られてしまい、一時は「全滅」状態になってしまったんです。
――遠藤(ZUNDA):その中で、最終的にZUNDAにご依頼いただいた決め手は何だったのでしょうか?
高橋氏:IBCソフトアルファによるパートナー探しが難航する中、唯一「Educationプランの移行対応が可能」と回答してくれたのがZUNDAさんでした。ホームページを拝見し、Google認定パートナーとしての実績を確認できたので、ここなら任せられると感じました。
実際にお話ししてみると、技術力の高さに驚きました。GWSという専門領域に非常に深く精通されており、クラウド特有の複雑な要件でもスムーズに意図を汲み取っていただけました。また、テキストコミュニケーションのやり取りも明確で、非常に安心してプロジェクトを任せることができました。特定ベンダーにとらわれない柔軟な提案力も魅力でしたね。
4. 徹底したテキストコミュニケーションで短期決戦を乗り切る

――遠藤(ZUNDA):今回のプロジェクトは12月にキックオフし、年末年始を挟んで完了させるという非常にタイトなスケジュールでした。振り返ってみていかがでしたか?
高橋氏:最大の不安は「本当に終わるのか」という点でした。これを乗り切るために、土日や夜間を含め、テキストベースでの迅速なコミュニケーションと「即断即決」を徹底しました。
――遠藤(ZUNDA):私たちZUNDA側から見ても、高橋様の法人内調整のスピードや、ご自身でCSVデータを作成・整理してくださるITリテラシーの高さには本当に助けられました。
通常、決裁権が現場にないと「どうやって上司に伝えようか」とプロジェクトがストップしてしまいがちなのですが、今回はそれがまったくありませんでしたね。
高橋氏:そう言っていただけるとありがたいです。ZUNDAさんが事前に「ここは仕様上、こういう痛み(デメリット)が生じる可能性がある」とリスクを正直に提示してくださったのも大きかったです。おかげで、事前に法人内で「ここについては今回はしょうがないと思って承知してほしい」と根回しができ、移行後のハレーション(混乱)を防ぐことができました。
5. 移行完了!「伝書鳩」からの脱却と、見えてきた課題

――遠藤(ZUNDA):実際にテナントを統合してみて、社内の変化や効果は感じていらっしゃいますか?
高橋氏:劇的な変化がありました。これまでは、本部から各学校の所属長へPDFなどの文書を送り、そこから現場へ伝えるという、まるで「伝書鳩」のような連絡網を運用していました。それが今は Google Chat のスペースに一元化され、全社への連絡が瞬時に行き渡るようになりました。
――遠藤(ZUNDA):コミュニケーションの壁が取り払われたのですね。
高橋氏:はい。学校間をまたぐ協業プロジェクトでも、メンバーが外部ユーザー扱いされなくなり、内部ユーザーとして簡単にスペースを作れるようになったため、連携が圧倒的にスムーズになりました。また、管理面でも、役職者が複数のテナントにアカウントを持ち、通知が来るたびに切り替えて確認する手間がなくなりました。管理コンソールや認証(MFA)の管理が1つに統合されたことで、運用負荷が大きく軽減されたと実感しています。
――遠藤(ZUNDA):逆に、移行作業や運用で困ったこと、戸惑ったことはありましたか?
高橋氏:そうですね、Chatのダイレクトメッセージ(DM)の履歴が「マイグレーションユーザー」という扱いになり、過去のやり取りが誰の発言か分かりづらくなってしまったケースがありました。また、外部ユーザーがオーナーとなっているファイルの移行仕様が複雑で、事前の整理に少し苦労しました。
一番焦ったのは、本人確認の認証コードの問題です。再設定用メールアドレスが未登録だったユーザーに対し、すでに使えなくなっている移行前の旧メールアドレス宛に認証コードが飛んでしまうというGoogleの仕様があり、その対応には手を取られました。
6. さらなるDX推進へ。テナント統合で悩む方へのメッセージ

――遠藤(ZUNDA):テナント統合という大きな山を越えられましたが、今後の展望についてお聞かせください。
高橋氏:インフラの統合が完了したので、これからはITが得意ではない教職員向けにGWSの活用ルールの整備や勉強会を実施し、法人内のDXをさらに進めていきたいと考えています。また、現在ZUNDAさんからは Cloudflare を用いたDNS管理の統合などもご提案いただいています。適材適所で様々なパートナー企業様のお力も借りながら、今後は他ドメインの移管などを含め、より働きやすいIT環境の構築を進めていきたいですね。
――遠藤(ZUNDA):ありがとうございます。最後に、現在複数テナントの統合や移行で悩まれている他企業や学校法人の方に向けて、アドバイスをお願いできますでしょうか。
高橋氏:もし、複数テナントに分かれていることでデータのやり取りに少しでもストレスを感じているなら、「一日でも早く統合した方が絶対に良い」とお伝えしたいです。
テナントが統一されることで組織間の見えない壁がなくなり、社内のコミュニケーションが確実に活性化しますし、何より管理者の負担が大幅に減ります。
ただ、管理コンソールの使い方や移行の複雑な仕様など、自社だけで解決するには限界がある場面も多々あります。そういった時は無理をせず、今回のZUNDAさんのような特定の領域に深い知見を持つ外部パートナーを頼ることが、プロジェクトを最短で成功させる鍵になると思います。
――遠藤(ZUNDA):力強いお言葉、ありがとうございます。本日は貴重なお話をありがとうございました!


